“幻想と肖像” 自由すぎる曲目解説のコーナー

斎藤優貴&伊藤亘希クラシックギターリサイタル”幻想と肖像”、

いよいよ明日になってしまいました。

最後の仕上げ、頑張っています!!

 

 

 

さて、斎藤君&私で執筆した

明日のコンサートプログラムとして配布予定の曲目解説、

名付けて「自由すぎる曲目解説」をここで先行公開しちゃいます!!!どうぞ、お楽しみください!

 

 

 

 

 

自由すぎる曲目解説

 

スパークス / 藤倉大

もちろんスパークといえば「火花」という意味が最も一般的ですが、ひらめきとかときめきなどの瞬間的な感情を表すことにも使われます。藤倉さんのスパークスがハーモニクスを通じてこの曲を紡いでいるんでしょうか。ちなみに私が先月クロアチアでコンサートをした際に、終演後現地の友人と音楽院の学生が打ち上げをしているバーに行きました。そこでめちゃくちゃ可愛い同い年くらいの女の子がいて、常に両脇に屈強な男性たちを置いてアイドル状態なんですが、終始やたらとこちらを見つめてくるんですよね。別に特にゆっくり彼女と話すこともなく名前も知らず。なんだったんでしょうね。(斎藤)

 

 

チャンス・モンスーン / 藤倉大

ちょうどこれを書いている日にドイツは暴風雨に見舞われていて、ワイマールでは降ったり晴れたりが短時間で入れ替わる不気味な風景が広がっていました。幸い私が屋内にいるときだけ降っていたのですが、あの時外に出て暴風を肌に感じていたら何か演奏に良いアイデア、あっ「スパークス」がありましたかね。そんなことしてると、台風で外に出てイキって動画を撮る若者と大差ないですが。いやでもこれは音楽のため。その「チャンス」を逃した月曜日の「モンスーン」は今何処へ。 (斎藤)

 

 

フォリオス / 武満徹

私の個人的意見ですが、例えば、現代のピアノはとても洗練された楽器であるように感じていて。だって鍵盤押せばハンマーがいつも同じように音出してくれるじゃないですか。(やばい、ピアニストに怒られる)それに対してギターは自分の生の爪で弾かなきゃいけないし、左手のちょっとした力加減や、そもそもどの弦で弾くか、などによって簡単に音質が変わってしまいます。一度に6音までしか出せないし。しかし、不自由だからこそ可能性がある!面白い!と思いながら武満はギター曲を書いたのかな、と想像してます。フォリオスは第3楽章の最後にJ.S.バッハの「マタイ受難曲」のコラールが引用されていますが、すぐに中断され、またもとの「武満の音世界」に戻っていきます。鼻ハーモニクスを使いまくってるのにも注目です(舞台上で解説予定)。(伊藤)

 

 

イエスタデイ / レノン&マッカートニー 武満徹編

武満徹はビートルズが大好きで、彼のギターアレンジ集である「ギターのための12の歌」の12曲中4曲もビートルズの曲になっています。ところで”〽 イェスタデーYedsterday ♫”はドイツ語バージョンだと“〽 ゲステァーン Gestern~ ♫”という歌い出しになります。なんかドイツ語の響きってアクが強い!(笑)単語の頭に濁音+アクセントが来ることが多いからかと。それにしても“イェ”“ゲ”だとだいぶ雰囲気変わっちゃいますよね(笑)今日は”ゲ”ではなく”イェ”の柔らかい発音をイメージして、歌い上げたいと思います。(伊藤)

 

 

プレリュード/ モーリス・ラヴェル Maurice Ravel

パリ音楽院の初見演奏の試験用に作曲された27小節の短いアペタイザー。調性はホ短調に聞こえがちですが、イ短調のドリア旋法という捉え方がオーソドックスだそうです。他の曲紹介がひどいので、今回は真面目に書いています。作曲当時の1913年、この響き目の前に学生たちはいったい何を感じたんでしょうか。そういえばギターで初見の授業や試験はあまり聞いたことがないですね。個人的にはジェイコブ・コリアーに課題を書いてもらいたいです。ネガティヴハーモニーとか使ってもらったりしてね。 (斎藤)

 

 

亡き王女のためのパヴァーヌ / モーリス・ラヴェル Maurice Ravel

まず最初にこのタイトルの「亡き」と「王女」にあたるフランス語の”infante”と”défunte”って韻を踏んでるんですよ。ラヴェルやりますねえ。フリースタイルダンジョン出れますよ。でもこの韻踏みは2拍子のパヴァーヌのリズムや最初のメロディーの抑揚に意図的に合わせた上での選択だったのかなと考えられます。ちなみにこのトリスタンが編曲したバージョンの楽譜の表紙のイラストは、2014年に東京国際ギターコンクールで優勝したトマ・チャバが手がけています。まあこれくらいなら私でも描けますけどね!…ごめんなさい。(斎藤)

 

 

ソナタ第3番 / デュシャン・ボグダノヴィチ

デュシャンに去年2回会ったんですが(どちらも受けたコンクールの審査員を務めていました)、別れる際に必ず「おやすみ!」って言われます。陽のホールトーンスケール(全音音階)をベースに、陰のセミトーンのエッセンスを兼ね備えた音列は、バルカンとアメリカで過ごした彼の人生そのものを表しているかのよう。実は4楽章から成るこのソナタ、基本アタッカでつなげるため1つの大きな作品にも聞こえます。皆さんは曲間の切れ目を見つけられるでしょうか?サイゼリヤの間違い探しよりは簡単です。(斎藤)

 

 

 

サンディーの肖像 / セルジオ・アサド

アメリカのアリゾナ大学のギター科創設に貢献した人物である、サンフォード・ボルトン教授Dr. Sanford Boltonに捧げられた曲。サンディーは愛称だそうです。この曲は”SANDY BOLTON”のそれぞれのアルファベットに音を当てはめて音列(≒メロディー)を作り、出来上がった曲です。誰か”ITO KOKI”を使って作曲してくれないかなぁ・・・ん? IとKとO被ってるから実質アルファベット4種しかないやんけ!作曲しづらそう(笑)
以下、各楽章について。
第1楽章 プレリュード Prelude
この曲をリカルドのレッスンに持っていったとき、たまたま同席してたブラジル人のギタリストが「この曲はギンガGuingaに似てるね!」とアドバイスをもらえました。ギンガはブラジルの有名なギタリスト、音楽家。家帰って慌ててギンガを聴き直しました。半音ずつ下がっていくメロディーが印象的。暗さ、けだるさ、独白・・・とい
ような言葉が似合う楽章。語るように演奏できたら、と思います。中間部は急にクラシカルなコード進行になります。回想シーンのようです。
第2楽章 パッサカリア Passacalia
パッサカリアはスペイン由来の古い舞曲の形式の1つ。この楽章の冒頭で、上で説明した”音列”が登場します。(表紙にちゃっかり楽譜で書いてます!読んでみてください)冒頭に出てきた音列は様々に変化していき、そして最後、音列はもとの形に戻って再び現れます。人が生まれて(名付けられて)から死ぬまでを表現しているように思うのですが、どうでしょうか。彼の人生の全ての場面に、彼の名前は刻み込まれているのだ、というような。
第3楽章 トッカータ Toccata
サンバのリズムで進んでいく軽快な楽章。ここでも上記の”音列”が丸々使われています、探してみてください。関係ないですけどこの楽章だけ2回コンクールで弾いたことがあるんですよね。好評でした。3月もドイツのとある場所で演奏予定です。ずっこけないように頑張ります。(伊藤)

 

 

幻想ソナタ / デュシャン・ボグダノヴィチ

東欧のセルビア生まれ、現在アメリカ在住のギタリストであるボグダノヴィチ。複雑な変拍子+ブルーノートスケールが全曲を支配しています。たとえば出だしは6拍子→4拍子→5拍子。覚えるのめっちゃ苦労しました。こういう変拍子は東ヨーロッパ~トルコ辺りの伝統的な踊りに顕著に出てくるのですが、慣れてなかったのでいい経験になってます。クラシックギターでは珍しい、弦をクイ↑って上に引っ張る(チョーキング)のにも注目。1楽章の真ん中あたりに出てくる高速スケール&ラスゲアードの連続は、火花散るほど超!エキサイティング。斎藤君と弾いてると、上手すぎて「オラァ!もっと弾けるやろ!かかって来いヤァ!!」って言われてるみたいです。ドMじゃないです。(伊藤)

 

 

組曲「肖像」より / ハダメス・ニャタリ

全部で4楽章あるんですがそれぞれがブラジルの偉大な先人音楽家へのリスペクトになっています。形式としてはブラジルの伝統音楽ショーロ Choro を踏襲しつつ、コンサートピースとして聴きごたえのある作品。第2楽章はワルツ。もともと”ショーロ”は19世紀にヨーロッパからの移民によって、当時のヨーロッパの流行りの音楽(ポルカとかワルツとか)が南米に輸入されたのが始まりでした。独自の進化を遂げた結果、洒落たハーモニー&複雑なリズムの”南米スタイル”になったのですね。第4楽章は”コルタ・ハカCorta Jaca”というシキーニャ・ゴンサガChiquinha Gonzagaの有名なマシーシMaxixeが基になっている・・・横文字が多すぎるわ!(笑)リズムを身体で感じてもらえればと思います。そういえば去年、音大の授業の一環で、ブラジル音楽のセッションに参加してきたんですが…ギタリストが南米の音楽を演奏し慣れているのに対して、他の楽器(ヴァイオリンとかトロンボーンとか)は慣れてないのか、複雑なリズムに苦労してましたねぇ(ちょっと得意気)。
あまり堅苦しくならず、楽しんで演奏できればと思います!(伊藤)

 

 

斎藤優貴&伊藤亘希クラシックギターリサイタル”幻想と肖像”

2020年2月21日(金)19時開演

ティアラこうとう小ホール(東京都江東区)

前売り2000円 当日2500円

ご予約、お問い合わせはこのHP上でも承っております。

まだまだお待ちしております!!

 

 

 

おわり

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伊藤 亘希(いとう こうき)

脱サラ系クラシックギタリスト、ドイツへ行く。

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