【曲解説】10の練習曲より第2番(G.レゴンディ)

ギター



先ほどTwitterにアップした練習風景の動画。

 

 

これはジュリオ・レゴンディGiulio Regondi(1822-1872)の

「10の練習曲」より第2番イ短調の抜粋です。

作曲されたのは19世紀中ごろ(1857年ごろ?)ですが、

しばらく忘れ去られており、

1990年代になって楽譜が発見され、ようやく再評価されてきました。

 

 

 

 

転調のエチュード


 

 

 

この曲・・・かなり変な曲です(褒めてます)!

ロベルト・シューマン(1810-1856)のピアノ曲などにありそうな、

流れるようなアルペジオ音型と少し不安定なメロディーで始まります。

 

 

 

で、ハ長調の中間部を経て、またイ短調に戻り最初のメロディーが繰り返され、

「ああ、3部形式なんだな」と思わせておいて・・・

 

 

 

突然、変イ長調(♭4つ)に転調します。

(転調:カラオケでキーを上げ下げするのを想像してもらえればと思います。)

 

 

 

そう、この曲は「転調のエチュード」と名付けたいくらいに転調だらけ。

その後も転調を続けていき・・・

 

 

 

 

 

 

 

この動画の個所では、

嬰ハ長調(#7つ!)に転調します。

 

 

 

この手の転調テクニックは、

当時(19世紀中ごろ)のクラシック一般の世界においてはもはや普通でした。

(いわゆるロマン派の時代です)

 

 

 

しかし、

ギター曲で#7つを登場させたのは知っている限りレゴンディだけです。

とても挑戦的な曲で、

彼がいかに卓越したギタリストだったかがわかります。

 

 

 

 

 

弾きづらい、けれでも(だからこそ)美しい


 

#や♭が増えてくると、解放弦が使えないので、左手は常に大忙し。

ギターでは非常に弾きづらいです。

 

 

例えば、上方向に転調して(キーが上がって)同じメロディーが現れたら

 

 

こう同じ押さえ方で平行移動すれば、同じように弾けるように思えますが、

それではうまくいかない場面のほうが多くて。

左手の運指を転調のたびに考えなければいけません。

なので、場所によって、弾きやすかったり、弾きづらかったりします。

 

 

 

転調のたびに運指が変わり、それによって変わっていく表現。

それは、

ギターの「技術的制約」が「音楽表現」へと昇華されている

と言えるのではないでしょうか。

 

 

 

もちろん、たどたどしく、難しそうに弾いてはいけないのですが。

このエチュードは弾きづらさそのものが魅力ともいえると思います。

 

 

 

というわけで、

転調の面白さを感じながら聞いていただけたらと思います。

もちろんメロディーもレゴンディらしくとても魅力的です。

 

 

 

「10の練習曲」の中でも、この第2番は独特な存在感を放っています。

ちなみに第1番が弾かれる機会が多くて、

それほど難しくないので初めてレゴンディを弾く方にオススメです。

「10の練習曲」は今後も取り上げていきたいと思っています。

 

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というわけで、

今週日曜の大阪でのコンサートでは弾きます。それ以外のコンサートでこの曲を弾くかは未定。

3/23(土)はクロサワ楽器Dr.Sound様でインストアライブ!弾き比べコンサートです!

 

そして3/31(日)千葉県市川市のコンサート

 

 

 

ご予約、お問い合わせはこちらでも受け付けています。

 

 

 

 

これからもこういう曲解説を書いていきますので、お楽しみに!

 

 

 

おわり




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伊藤 亘希(いとう こうき)

脱サラ系クラシックギタリスト、ドイツへ行く。

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