知ることで、より楽しめる!
わたし、コンサート中のMCが苦手でして。。。
ここにコンサートで演奏予定の曲を解説することを思いつきました。
・作曲家の生い立ちや、他の音楽、芸術分野からの影響を知る
・私がどのようなことを考えて演奏しているか
という主に2つの側面から書いていきたいと思います。
それほど多くは解説しません、
ギターを弾かない人にっても読みやすく書くように努めます。
武満徹ってどんな人?
武満徹(たけみつ とおる)1930-1996
出典:Shinchosha Publishing Co, Ltd. – 『藝術新潮』新潮社, 1961年7月号
彼は世界で非常に名の知られた日本人作曲家であり、
日本に限らず世界中の音楽家が彼の曲を演奏しています。
彼は日本の伝統的な楽器(琵琶、尺八、筝など)を研究し、作品を残しています。
例えば、代表的なのは
「琵琶、尺八とオーケストラのための”ノヴェンバー・ステップス”(1967)」。
それ以外にも、ジャズ、シャンソン、ジャワ島のガムラン、
ビートルズなどのポピュラー音楽、映画音楽など様々な分野に興味を持っていました。
ギターのためにも多くの作品を残しています。
「すべては薄明のなかで」
すべては薄明のなかで(1987) ジュリアン・ブリームに献呈
これがコンサートで弾く予定の曲。(抜粋ですみません)
パウル・クレーの作品から
インスピレーションを得て作曲したらしいです。
同じ題名の絵画があるらしいのですが、見つけられず。
武満はこのような特徴的なタイトルを好んでつけています。
「そして、それが風であることを知った」や
「鳥は星形の庭に降りる」など。。。面白いですね。
英語では”All in Twilight”と書かれていますが、
「なかで」という
動詞が省略されることによる曖昧さは、
日本語でしか表現できないものがあると思いますし、
武満も意識的にこの言葉を選んだのではないでしょうか。
最初の3音
出だしの音符はこんな感じ。
この曲はハーモニクス(弦の上に触れて倍音を出すテクニック)が多用されています。
ひし形”◇”の音符が「ハーモニクス」の指示です。
ここに見えているだけで5回もハーモニクスを弾いています(笑)
最初の1小節に現れる3音が、全部”ミ”の音なのですが、
⑤弦のハーモニクス
⑥弦のハーモニクス(オクターブ下ですが)
①弦の実音(ハーモニクスなし)
というように全部違う弦で弾かれます。
「同じ音を、違う弦で弾く」ということが意識して書かれていると思います。
また、右手の弾く位置も細かく指定されています。
同じ音程でも、弾き方によって様々に変わる音色。ギターという楽器の特性を生かしてますね。
このことはフランス印象派クロード・ドビュッシーの管弦楽法も想起させます。
どんな響きになるかは・・・コンサートをお楽しみに(笑)!
光、空間の捉え方
「薄明のなか」と銘打っているからには、
やはり「光」や「空間」が重要なテーマなのかな、と思います。
光の感じ方、印象もそれぞれの国や生活習慣によって違ってきます。
ヨーロッパの教会で、頭上高くのステンドグラスからすーっと差し込む光。
伝統的な日本家屋で、障子ごしに流れ込んでくる半透明な光。
武満は作曲する際、信州長野の御代田という町(軽井沢のすぐ近く)で
仕事場に籠っていたそうですが。
引用元:御代田町 | 浅間山に抱かれた高原の町 http://www.town.miyota.nagano.jp/category/gaiyou/2129.html
やっぱりそういった、
日本の家からみた、日本の山々の風景がこの曲には反映されているんでしょうか。
とはいえ、聴く際には日本的なものをあえて意識せず、
ただ音、響きそのものを楽しんでもらえれば、と思います。
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というわけで、
今週日曜の大阪でのコンサート、
そして3/31(日)千葉県市川市のコンサートでこの曲を演奏予定です。
ご予約、お問い合わせはこちらでも受け付けています。
これからもこういう曲解説を書いていきますので、お楽しみに!
おわり
伊藤 亘希(いとう こうき)
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