教養としてのゲーテ入門

最近、こんな本を読みました。

 

教養としてのゲーテ入門 「ウェルテルの悩み」から「ファウスト」まで 仲正昌樹 著



テーマが分かりづらい原著


ゲーテ、と言ってもピンと来るひとは少ないと思います。

私もそうでした。

ゲーテと言えば「若きウェルテルの悩み」を昔読んで、あとは

「ファウスト」を知ってる程度だったので・・・

 

著者はゲーテの著作に一貫するテーマについて、

「市民社会の視点から『人間』を描こうとした文学者」と表現しています。

それではゲーテの生きた頃の「市民社会」って一体?

 

 

激動の時代を生きたゲーテ


18世紀後半からは近代化が急速に進んだ時代でした。

フランス革命、ドイツ(当時は神聖ローマ帝国)の解体など・・・

そんな中で、一般市民が1人の人間として、どう生きていくかという問題が

人々の中に芽生え始めた、そんな時期。

 

 

様々なキャラクターを通じて描きたかったもの


ゲーテの登場人物達は、何かに突き動かされて行動するも、

その行動にいまいち一貫性がないことがよく見られます。

 

階級社会での振る舞い、恋愛、職人としての生き方など・・・

時には不合理な行動をとってしまったり、

自己矛盾した考えを持ってしまうことが誰だってあります。

 

しかし、まさにそれをゲーテは意図して書いていて、

「現実世界が抱える複合的な問題を、文学という形で描き出した」

ということが本書の中でも強調されていました。

 

それはゲーテが多様な学問(鉱物学、色彩学など・・・)を修め、

ものの見方考え方を常に試行錯誤してきたことが

そのまま反映されているのではないかと思いました。

 

「現代人にとっては当たり前に思えるようなことを描いた」

と言ってしまえばそれまでですが、

社会とは何か?人間とは何か?を捉えなおすきっかけとして

やはりゲーテの作品は現代人にとっても重要ですね。

(たぶん一番読みやすいのはウェルテルだと思います)

 

この本はストーリー解説も丁寧にされているので、

原著を読んでなくてもエッセンスをつかめます。

これからゲーテに触れたい方、おすすめです!

 

最後に


ゲーテはまさに現代の日本に当てはまる痛烈な批判をしていました。

 

大衆は新しい重要な現象に出会うと、それがなんの役に立つかと尋ねる。

これはまちがってはいない。なぜなら、彼らは実利によってしか物事の価値を認めることが

できないからである。

「ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代」より

 

終わり

 



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伊藤 亘希(いとう こうき)

脱サラ系クラシックギタリスト、ドイツへ行く。

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